富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

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116:『建築プレゼンの掟』 19:11
116「建築プレゼンの掟」
大学生にとっては4年間の集大成,私にとっては毎年のサポートとなる「卒業制作」が,締め切り間近になってきました。「プレゼンテーション」つまり,見る人に「伝達」(「伝えたい」ことが相手に「達する」)する仕掛けは,ここでも重要です。
「見る眼がある人が観れば,理解できる」とか「わかってくれる人だけに伝わればいい」という考え方は間違いだと,多くの組織人は考えています。
他者が理解できる表現と,それに至る思考を伝えることの重要性,それを諭した若者向け書籍としては,当ブログの中では『案本』(
blog No.1122008 11/26)や『自分クリエイト力』(blog No.111,2008 11/17)や『広告コピーって こう書くんだ! 読本』(blog No.88,2008 5/26)がありました。

今回紹介の『建築プレゼンの掟』では,表現を伝える実践例を各建築家やデザイナーが披露。著名ショールームや公共的建築物が世に出る前のプロセスと,プレゼンテーションにかけた想い,プレゼンの勘所を,10名の作家が語っています。普段,絶対にお目にかかることの無いプレゼン時の作品も写真で見ることができます。

「建築プレゼンの掟」(掟01)
いわば「秘伝」の「公開」か! この本では10の掟が公開されています。
中でも私が印象深かったのは「作家性は必ずしも最終的な作品のテイストにあるのではなく,条件や制約に対するソリュージョンの中に見出せる」(p.68)と,着眼の重要性と思考の深さを感じてもらう姿勢を語った永井一史氏(アートディレクターで,建築家・中村拓志氏との対談中)のフレーズ。

最後は「自らの新しい掟を探すために」と題した編集者・高橋正明氏のメッセージで締められています。
「もはや『まず作品ありき』という言葉だけをエクスキューズに,作品や自己を語ることをなおざりにしたり,作家性を押し通したり,自己韜晦してはいられない。建築を学ぶ学生も,教師とのあうんの呼吸で考えを理解してもらえるのは,学生時代までと知るべきで,社会に出た途端に遭遇する現実とのギャップは,卒業までに小さくしておくのが賢明だ」(p.179)。(韜晦=going my way)

デザインの世界で舞台裏(メイキング)や思考プロセスを開示するケースは,最近でこそポピュラーになってきましたが,この傾向を牽引してきたのは,やはり建築業界だと私は思っています。その意味で,私は以前から建築関連の書籍には興味を持ってきました。
編者曰く「これを契機として『新しい掟』が各自各様に見いだされ,あるいは体得させれば幸いである」(p.183)と。

『建築プレゼンの掟』(高橋正明/編,彰国社,2008年)2500円
[追伸]
建築関連が充実している点で,私は三省堂書店・名古屋高島屋店を利用することが多いです。
名古屋に出た際は,東急ハンズ(高島屋4〜10階)に立ち寄って,11階の三省堂書店に向かいます。帰路の名鉄電車では知立まで,先ず購入図書の斜め読みです。ちょっと贅沢ですが,そのために最近は座席指定ミューチケット(350円)で乗っています。車中で30分間,立って揺られていることを考えると,後の疲労もないので350円は決して高くはないかな! と。

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