富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

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111:『自分クリエイト力』 18:01
111:『自分クリエイト力』
『自分クリエイト力』の作者は,受験界では小論文指導のカリスマ講師と呼ばれ,現在は多摩大学教授の樋口裕一氏。
一般的に『自分クリエイト力』なんて本を買うことも,多分,処世術的な気恥ずかしいイメージが付いてまわると思います。しかし,樋口氏自身の歩んで来た道を公開し「自分がなりたい方向に自分をクリエイト」した紆余曲折の実体験がベースとなっていますので,真似すべきお手本が大いに綴られています。
1951年生まれの作者が,20歳台の若者に向けてのメッセージであると思いながら,私は読み進めました。

樋口氏いはく「自分にはすごく光るいいものがある。見る目がある人であれば,それをわかってくれるはずだという思い込みがありました。ですから,それがわからないのは見る目がないからだと思っていたのです。(中略)自分の素のままで,自分の内面に持っている能力,その長所が他人にもわかるはずだといった傲慢さは,若い頃には,誰もが多少持っているものでしょう。(中略)ところが,実際に自分が思っているほどの能力があるかと言えば,たいていはそれが根拠のないものであることが多いのです」(p.91)。

私自身も,20歳台の頃は,きっとそんな傲慢さは在った,在った! と思い返すほどに,上文は印象的でした。しかも「たいていはそれが根拠のない」能力であるとは,至極真っ当な話 ── と,今では冷静に判断できるようになった読者の私。

社会人にも不平不満を周囲に漏らし続ける人っているものです。「現状における自分の評価に,他人と自分では大きな差があるわけです。そして,自分の評価が正しいと思っているのです。しかし,実際に自分が思っているような能力を発揮しているのかどうかが問題なのです」(p.93)。この見解ですが,本書の前半には「そのすべてがあなたなのです。もし,能力を発揮していないとしたら,現状については,周囲の評価のほうが的を射ている」(p.25)と。
文中の「現状については」の状況を打開させようとする考え方のヒントこそが,本書の意図です。

樋口氏からのメッセージ「プライドを捨て,社会的役割を演じる(p.123〜)」や「建て前は本当に悪いのか(p.179)」の項目に至っては,読んでいくと「そうか! そうやって考えればいいんだ!」と,やっと気付くほど私はまだ発展途上。

スラスラと読めた本ですが,社会経験が無いとシミュレーションで読むことになりますので,多少難解かもしれません。読者の一人としては,30歳くらいの方がフィットする読者層ではないかな〜,などと思って読んだ本でした。

『自分クリエイト力』(樋口裕一,講談社プラスアルファー新書,2008年)800円
[追伸]
章の末ごとに問題集が付いています。
最終の「第八章 応用問題」には次の設問が載っています。
[「最近,電車の中で化粧をする若い女性が増えている。人前で化粧をするなんて,みっともない」という意見があります。この意見に反論をしてみてください]
── ディベート型の問題です。
頭を柔らかくして考えると,さて,どう論述できるか?(「答え」も載っています)。
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