富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

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191:『スモールハウス』 23:40


スモールハウス

 

● 実際,家って,もっと小さくていいと思う(p.18)

書名は簡潔な『スモールハウス』で,スモールの波に乗り遅れている住宅(p.18)を見直してみよう!  がテーマです。「お金がないから小さな家に住む,裏を返せば,お金さえあれば大きな家に住む」(p.14)の? 

作者・高村友也氏もスモールハウス生活している実践者ですが,経済の富国アメリカの先駆者を取材しつつ「スモールハウスに納まるくらいの所有物で生活する」(p.69)豊かな生き方への提唱が詰まっています。で,このスモールの度合いですが,読者の私は,以前に紹介した『9坪の家』(blog No.186)(正確な規模は1階が9坪,2階が6坪の床面積15坪(要は約50屐法あたりが適度だろうな,と考えるところです。

ところが,本書のサブタイトルは,何と目を疑う「3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方」と来ました。3坪とは畳6枚分の約10屬留笋拆果明僉せ笋蓮い海海泙任蝋覆譴覆い福い箸癲

 

● やっぱり,家って大きすぎるんじゃないだろうか(p.98)

「僕らには,禅や茶道,近年の断破離ブームにも見られるような,シンプルなものに美しさを見出す精神的気質がある」(p.22)指摘には,何やら惹かれる気持ちはあります。

でも,やはり後半あとがきには,スモールハウスは「熱心な支持者もいる一方で,メディアの反応を見ている限り,恐いもの見たさ,珍しいもの見たさが半分入り混じっており,まだまだれっきとした市民権を獲得しているとは言い難く,いわば胎動期にある」(p.207)と作者自身にも消極論が見え隠れしています。

作者の提唱ともエッセイとも取れる文章を読みつつ,10屬適切か? はさておき,作者の住宅哲学には共鳴する呟きが多いのです。「贅沢と言えば,貴金属や,ブランド物の靴やバッグ,家電製品なんかを思い浮かべるかもしれないが,費やされている労働と資源の量からして,家は桁が違う」(p.140)と。確かに家は大きすぎるのだろうし,とんでもなく高額で,よって「生涯賃金を2億円と考えれば,その3分の1に及ぶ。一体,どうしてみんな,こんな状況に甘んじてるんだろう」(p.19)── 確かに,確かに。

 

●  今「小さな家」が注目されている(p.9)

実は,広義のスモールハウスムーブメントは「大きな家は必要ない」「小さくシンプルに暮らす」を指す社会現象と作者自身も冒頭で述べています。3坪前後の極端に小さな家は,その象徴に過ぎないようです。

日本の住宅(持ち家,戸建て)の延べ床面積は2011年で126屐聞馘攜鯆名福砲箸。需要のボリュームゾーンは子育て世代です。一方,数年後には半数以上になるのが「おひとりさま」と「おふたりさま」世帯です。ならば,家の大きさの固定観念から脱皮する拠り所として「『スモール』は元来,日本のお家芸」(p.20)に回帰できないものか・・・。

「貧しい時代,貧しい国では,何であれとりあえず蓄えておこうという本能が働く」(p.62)のですが,平和で安定した社会では「食料を大量に蓄えておくよりも,新鮮なものをスーパーに買いに行ったほうがいい」(p.62)考え方があります。街の至る所にコンビニやファミレスがある現今,究極は目指さないまでも,今の大きさの半分レヴェルの家を普通に考えるトレンドが来てもよさそうに思ったのが,本書の読後感でした。

 

『スモールハウス ── 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方』

(高村友也,同文館出版,2012年)1400円

 

[追伸]

狭小住宅や最小限住宅を唱える建築家は,以前からいましたし,それなりに注目もされてきました。

しかし今や,庶民の住宅普請のポピュラーな形は,工業製品を組立てるTV-CMでお馴染みのハウスメーカー達(Sハウス,Sハイム,Mホーム,Dハウス,M井ホーム,A化成・・・)です。平均約125屬僚斬陲魄貳眠修靴燭里皀魯Ε好瓠璽ーですから,彼らに「平均的な家の半分の広さ」を依頼するのは専門外,ましてや本書で登場の究極の10屬箸覆襪函屬┐叩に楜い任垢?!」の世界でしょう。

作者の高村友也氏を含め,本書で登場のスモールハウスの先駆者は,セルフビルドでの実現です。「小さな家」を切望する庶民の実現方法は・・・? 世の建築家には「狭小住宅にこそ意欲的に取組みます」といったアピールも必要な時代なのではないでしょうか! 庶民にとって,毎日のように受信するハウスメーカーの広告に対し,医者の邸宅を請け負うイメージの建築家は選択肢にも入りません。 

 

栄生このブログでは最近,狭小住宅や終の棲家,秘密基地の家に関する本を取り上げてきました。

『本で床は抜けるのか』blog No.184

『書庫を建てる』blog No.185

『60歳で家を建てる』blog No.187

現実に,私自身がもっとも影響を受けて来た訳です。

 

ここで初披露 ── 私,上記らの本に刺激され,とうとう昨年の初夏に土地を購入しました。新幹線高架の直横の立地故,格安で且つ狭小土地(約20坪)です。

具体化の話は,また別の機会(このブログ以外,例えばHP等)で紹介していきたいと思います。

 

[アップ翌日の追伸]

「スモールハウス」の実践例は,少なからずwebでも取り上げられています。

https://www.houzz.jp/ideabooks/57045883/video

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