富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

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181:『モノが少ないと快適に働ける』 15:54

No.181(口絵)

 

● 男性版「断捨離」実践ストーリー 

作者・土橋 正氏は経営コンサルタントで,文房具系の分野では,よく知られた方です。今回は文房具に関する話しではなく,土橋氏自身が断行した仕事スタイルについて綴った内容です。

内容は,大きく分けて──

(1)モノ系の「取りさばき」と空間管理

(2)時間管理術

(3)プライベートライフ術

から成りますが,私の関心事は,本書が男性版・断捨離のノンフィクションであった点です。「断捨離」のフレーズ自体は,今や,提唱者・やましたひでこ氏の登録商標のようですが,土橋氏の実践は仕事スタイルを絡めた「道具と空間,時間の定位置化」に特徴があります。

No.181(表紙)

本書の扉(右写真)には,土橋氏の超モノが無い仕事場の写真,そして「集中力がみなぎる仕事空間」のコピーが配されています。

「取りさばき」(=「一つひとつ適切に判断して,いる,いらないを決めていく」p.62)の賜物です。

 

● モノがないという空間がある
独立当初の土橋氏は,自宅の書斎を事務所にしていたようですが,やがて同じ場所での仕事とプライベートに限界を感じ,コンパクトな個室オフィスを借りたのが「断捨離」の大きなターニングポイントだったようです。
「書類や道具など身の回りの一つひとつを見直し,これ以上は減らせないというくらいまで少なくした最小限の構成で仕事をしています」(p.177)に至った考え方と,書名にもなっている「モノが少ないと快適に働ける」仕事場の紹介です。

 

● ストレスを抱えない過ごし方スタイル

きれいなデスク回りが象徴的過ぎるのですが,土橋氏が本書の中で力説する一貫したキーワードは「ミニマリズム・スタイル」です。

単純・簡素の意味合いではなく「ある哲学にもとづいて内側からにじみ出てきたシンプルさ」(p.5),それに依るストレスを抱えない過ごし方の紹介です。

読者の私はと言えば,オフィスは大学の研究室,敷地内の宿舎が自宅,要はオフィスも自宅も似たような空間利用で,資料的なモノに溢れた生活。これを打破しなくては! と悶々としていた時に遭ったのが本書『モノが少ないと快適に働ける』です。

「断捨離」するなら,引っ越しが手っ取り早いな,と思っていたのですが,私は,住居の方を新たにすることにしました。この本が精神的な刺激となったのは確かです。年末か年始に引っ越し予定で,目下,作り付けの棚など設計中です。

 

『モノが少ないと快適に働ける』(土橋 正,東洋経済新報社,2014年)1300円

 

[追伸] 

「いい仕事に,整理術は欠かせない」として「思考回路の整理」と「空間の整理」を提唱したのが『佐藤可士和の整理術』(blog No.68)で,私にとっては単なる憧れでした(2007 11)。

 

「心の新陳代謝」を説いたのが『仕事に効く「断捨離」』(blog No.174),でも,モノの増殖が人並み以上に多い私には無理と悟ったのでした(2013 9)。

 

そして書名そのものが印象的で,以降ずっと私の中で気になるフレーズになったのが『わたしのウチには,なんにもない。』(blog No.175)。

ブログ中で,私は「・・・手っ取り早い解決策は,引っ越しかもしれません。この夏,古いの友人からの『今の職住近接を終えて,仕事帰りにフィットネスクラブで汗を流すようなライフスタイルに切り替えては』と言われて以来,そういう考え方があるのも気になっています」と,綴っています(2013 11)。

 

ところが「断捨離」を後悔したっぽいエッセイ『捨てる女』(blog No.214)を読んでからは,モノを捨てる事よりも,モノの整理を重視したいと考えるようになった,影響されやすい私(2014 2)。

 

おっと忘れていた。「男は集める生き物」「消しゴムのちぎれた切れっぱし,道で拾ったビール瓶の王冠,壊れた玩具の一部分などゴミに近いものであっても,それを大事に重い,捨てずにとっておくというところに,すでに『オトコ』が芽生えている」と説いたのが『蔵書の苦しみ』(blog No.172)でしたね(2013 8)。

 

以上,今回紹介の『モノが少ないと快適に働ける』までに至った本と私の心境変化でした。

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