富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

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番外編 27:雑誌の編輯(7) 00:40
雑誌編輯400ピクセル
「雑誌の編輯」の授業も,今回で9年目を数えます。
今年も4名一組の3チーム(受講者は教育学部 美術科3年生12名)で,4月から始めて8月,そして夏休みの追い込みを経て,どうにか出版に漕ぎ着けました。大学の授業の一環ですから,各誌それぞれ20冊ほどのオンデマンド出版です。でも,規模は小さいながらも写真を見ての通り,かなり本格的で,達成感あります!

雑誌の編輯は,構想がなければ成立しませんが,さらに印刷物としての設計・施工が分からないと成就しません。全ての行程が「デザイン思考」そのものです。
テーマ設定・読者層の方針決め,カンプの作成,取材・写真撮影,記事化の一連の編輯,そして慣れないながらも版下データ化を自分たちで完遂,さらにはカラーレーザープリンターでの自前印刷・・・と,全15回の授業では納まりきれない盛り沢山の要素があります。B5サイズ20頁ほどの出版物ですが,夏休みも編集部員たちの活動は続きます。

シミュレーションとはいえ,学生にとって雑誌の発行は初めての体験です。PCにしても,これまでレポートでword,発表でpowerpointを使ってきた程度,印刷の版下データにもなるillustratorやphotoshopは未知,ここから半年で「雑誌」を発行するのですから,相当ハードな内容です。

製本は外注していますので,10月に奇麗な形で「納品」されて届けられると,毎年のことですが私自身も嬉しさが込み上げてきます。
今年は,受講学生の出身地ごと,三河藩,尾張藩,名古屋城下の3藩(班)にチームを分け,それぞれ下記の雑誌が発行されました。

● 『CHAOS』(上段・下段とも右)
愛知教育大学 美術科に生息する面々(教員,学生)の物語。総20頁。

● 『TUNAGI』(上段・下段とも中央)
ツナギファッション + 歌舞伎の間(繋ぎ + 料理のつなぎ。総20頁。

● 『へーんしん!!』(上段・下段とも左)
化けるをテーマに(紙工作,マヨネーズ,プリクラ,化学実験,特殊メイク)。総22頁

※ 例年のことですが,紹介しておきながら各誌20余部しか発行されていませんので,非売品です。ごめんなさい。
[追伸]
毎度のことですが,文中には「編集」ではなく「編輯」の旧漢字を使っています。
今から35年ほど前,大学生の頃に読んだ本の一節に影響されてのことです。
「『編輯』が漢字制限によって,『編集』となってしまったときの違和感を忘れることはできません。何か含蓄のありそうな『輯』の字が,即物的な『集』に変わることにより,概念そのものも微妙に変質したのではないでしょうか」(紀田順一郎『読書戦争』三一書房,1978年,p.124)。
「輯」の文字には,車(自動車ではなく,荷車を指すだろう)で飛び回り,口と耳を駆使してモノ・コトを集める,という意味合いがあるようです。

この授業シラバスは,下記に紹介しています。
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