富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
156:『イラストで学べる著作権(学校編)』 19:49
「イラストで学べる著作権」

このところ,講義で「著作権」を話すことが多くなってきました。
約20問ほどのクイズに回答してもらい,長い解説をしています。大学1年生が対象だと「え〜,私たちの便利さが失われる!」と,自己の立ち位置での反応ですが,4年生にもなると「著作権者の立場で考えないといけないですね」となってきます。著作権者の立場を守る ── だからこその「著作権」です。

「学校では『著作権』は適用の圏外」と勝手に解釈している現場教師や,教師の卵(教育学部の学生)が多いのも現実です。
例えば「市販のワークブックなどの教材を1冊だけ買って,クラス全員にコピーして配る」のは,買ってもらうことを前提に作られている訳ですから,コピー配付は著作権者の売上げを損ねています(p.29)。学校での制限を緩和したのが第35条ですが「当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りではない」が示す但し書きの違反となるのです。それにしても法律は「及び」「並びに」「照らし」と,難解な文章表現ですね。
逆に,内容を正しく理解していないために過剰に反応し利用者としての権利を自ら縮めているケースもあるようです。「学校の運動会でプラカードに人気のキャラクターを描きたい」場合,授業の一環としての使用と見なされていますから,第35条の適用を受けます(p.41)。35条は「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担当する者は,その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には,必要と認められる限度において,公表された著作物を複製することができる」。

著作権を啓蒙する機関や協会が発信するケーススタディ付の解釈書で学ばないと,身近な法律ですが理解が難しく萎縮してしまうか拡大解釈をしてしまいます。
このブログでは,過去にも著作権の本を紹介(blog No.02blog No.61)してきました。忙しい現場の先生がすばやく読めるスタイルの本が無いかな? と思っていた時に見つけたのが,小中学生と先生との問答をイラストを使って解説した本書です。1日に1項目の見開き2ページ(じっくり読んで10分)を読み進めたとして,3週間で読了です。小中学生をも対象としていますので,具体的で簡潔です。忙しい先生にもお奨めです。

閑話休題,トップの書籍写真に「ミッフィー」のようでもあり「キティ」のような人形が写っています。紹介は「続きを読む」で会いましょう。

『イラストで学べる著作権(学校編)』(財団法人 著作権情報センター,汐文社,2004年)1800円
[追伸]
キャラクターの胸には,しっかりmiffyとプリントされています。解釈によっては「miffy」のお洋服を着た別のお人形。タグによると「Metoo」(メットー)だそうです。絶妙な「作品」であり,受けを狙った「パロディ」と捉えるか,そこまでの完成度は無い「おもしろ土産」とみるか。春休みに,学生が東南アジアで買ってきたお土産です。ミッフィー(大/カラー
サンリオ社もディックブルーナ氏も,笑って黙認! でしょうね!

昨年,サンリオ社の作った「キャシー」が,ミッフィーにそっくり!(右図)として販売の差し止めを求められて話題になりました。「Metoo」は,これをネタに登場したメタパロディと捉えるべきか。
私はキャシーをミッフィーの「類似」と受け取ったのですが,学生の多くは「似ていない」と。人によって,見方,感じ方って違うものです。

[その後の追伸]
東日本大震災後の3月,ミッフィーから「訴訟をするよりも費用を被災地の復旧にあてよう」とキャッシーに和解案が出され,訴訟を取り下げ共同で義援金を贈ることになったようです。めでたし,めでたし。
| 教育科学 | - | - | posted by tomiyama - -
<< NEW | TOP | OLD>>