富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

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149:『池上彰の新聞活用術』 15:40
池上 彰の新聞活用術
背景はPISA調査結果を1面で報じた昨日12/8の『毎日新聞』(クリック拡大可)

池上 彰氏による新聞の読み解き術が詰まった本です。
 NHK出身の池上氏ですが,現在の「職業」は何と呼べばよいのでしょう。池上氏の登場まで,ニュースで取り上げられた時事問題をさらに「やさしくかみ砕いて解説」してくれる役目の人はいなかったのですから・・・。「池上流に解説」で今や通じてしまいますね。
本書は「2007年4月から2010年3月まで3年にわたり朝日新聞の毎週月曜日の夕刊に連載」された内容がベースです。

当時(2008年)の鳩山法相が死刑執行を命じた事例に「死に神」という表現を新聞紙面で使った『朝日新聞』への突っ込み(p.234)等も載っています。
それでも「かつてライバルの新聞(読売の特ダネ)をほめる朝日新聞はたいしたものです」(p.160)や「(投書「声」欄の文章から)朝日新聞の読者のレベルの高さを改めて確認した思い」(p.244)辺りからは『朝日新聞』を贔屓(ひいき)にしているな! という感想は持ちます。
新聞の読者は,購読紙のファンであることが多いと思います。「(東京五輪)オリンピックを伝える新聞を切り抜いて,毎日ノートに張り,感想を書く」(p.96)宿題で,新聞スクラップの楽しさを知った中学生の池上少年が読んでいたのは,案外『朝日新聞』だったのかもしれません。

池上流解説は,見開きの連続2枚できれいに一話完結,53の話題から成ります。
私が「そうだったのか」と認識を新たにしたのは「オバマ大統領はなぜ『黒人』なのか」── 母親が白人なのに「黒人」と表記するのはおかしいのではないか? の節です。
米国では国勢調査の際に「人種」の選択肢があるそうです。「米国では『ワン・ドロップ・ルール(一滴主義)』という考え方があり,少しでも黒人の血が入っていれば黒人と見なされた」人種差別の歴史があったことが『日経新聞』には書かれていたそうです(という解説を池上氏は『朝日新聞』紙上に書いたのですね)。

新聞は,私たちが見過ごしてしまう重要な知識を運んでくれます。「朝刊1部には,新書版2冊分の膨大な情報が詰まっています」(「はじめに」および帯より)。そして「瞬時に一覧」できる特質があります。

『池上彰の新聞活用術』(池上 彰,ダイヤモンド社,2010年)1200円
[追伸] 
12月8日の朝刊各紙は興味深かったです。
『朝日』も『中日』も『毎日』もトップは2009年に実施された「PISA(国際的な学習到達度調査)の結果公表」でした。日本は前回の2006年の15位から8位になったという報道です。
『毎日新聞』はトップ頁の関連記事(19面)として「新聞よむほど高学力」という分析を取り上げています。
本書では2006年度の調査結果について池上流解説が載っていますが,今回の発表を受けて2009年度版もメディアを通して,わかりやすく紹介してくれると思います。
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