富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

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190:『「捨てる!」技術』&『僕が読んだ面白い本・ダメな本 そして 僕の大量読書術.驚異の速読術』 19:10

「捨てる!」技術+

 

● 時期尚早だった『「捨てる!」技術』

大ブームとなった『断捨離』(やましたひでこ著)が2009年刊行ですから,この辰巳 渚『「捨てる!」技術』は,それよりずっ〜と前に提唱されています。

 

私の購入は17年前で,初版も同じく2000年です。作者も「完璧を目指さない」(p.110)とする緩やかな「『捨てる』作業によってモノの価値を検討する」(p.6)生活スタイルの提唱で,後発の「断捨離」ほどのインパクトと徹底さはありませんが,当時,噛み付いたのがジャーナリスト立花 隆氏でした。

 

1965年生まれの作者は当時35歳,当ベストセラーで知られるようになった新人です。巨匠・立花先生は,その後『僕が読んだ面白い本・ダメな本 そして 僕の大量読書術.驚異の速読術』なる超長〜いタイトルの単行本を出しますが,その中で「『「捨てる!」技術』を一刀両断する」と章建てまでしての徹底ぶり。何ともお疲れ様です。

現今,書店では「ミニマリスト」の生活スタイル関連がコーナー化されるほどですが,立花先生はどう見ているのでしょう,この潮流を・・・。

 

● 収納法ではモノは片づかない(辰巳,p.95)

生活スタイルの一つの提唱ですから,採り入れるか否かは,個々人の裁量です ──「私はこの本を全く評価しない,ほとんどカスみたいな本だと思っている。「捨てる技術」を使うなら,まっ先に捨ててしかるべき本だと思う」(立花,p.374)まで言い出す始末。巨匠ともある御仁,ここまで攻撃する〜!?

 

「女性が日用品について信奉したくなる『収納法』,男性が書類や資料について信奉したくなる『整理法』」(辰巳,p.85)── 確かに,確かに・・・。

当書を購入時,人一倍の蒐集癖があり「捨てる」発想が皆無だった私も,その後の「断捨離」教に少なからず影響を受け,今はモノを買わない生活を目指しています。17年を経た再読で「モノが多いから収納法・整理法が必要になるのだと考えよう。モノを減らせば方法論に頼るまでもまでもなくなってくるはずだ」(辰巳,p.92)のフレーズに強烈に共鳴する私。

整理術が載っている雑誌類には急に興味が無くなってしまった私。

極論でしょうが,そもそも家に収納スペースって必要なんだろうか? とも思うようになった私。

 

建築家・宮脇 檀の声を引用している次の箇所も興味深い ──「そういう部分(押入や納戸)をたくさんつくればよい設計だと喜ばれるのは経験上分かっています。けれど,いくらたくさん収納を作っても,そこは後から後から買い込まれるモノたちですぐに一杯になるだけだ,ということも私たちは同時に知っています」(宮脇 檀『男と女の家』)。

 

● 暮らし方を作り直す

今,改めて紐解きますと,当時は作者自身が若いので,そこまで達観していたかは分かりませんが,主張内容の哲学は「捨てる」技術にあった訳ではないように感じます。

「持っているモノはどんどん使おう。逆に、使わないモノは持つのをやめよう(辰巳,p.83)

「身のまわりにあるモノの山を『捨てる』ことか始めて,暮らし方を作り直す(辰巳,p.220)

「のんびり自分らしくくつろげる家に暮らしている人はどのくらいいるのか」(辰巳,p.221)

アッという間にアラ還(=間もなく還暦)となった今,暮らし,住宅,道具の在り方,シンプルな生活の良さを志向する考え方への余裕が私にも湧いて来ました(遅!)。

 

『「捨てる!」技術』(辰巳 渚,宝島社新書,2000年)680円(当時)

『僕が読んだ面白い本・ダメな本 そして 僕の大量読書術・驚異の速読術』(立花 隆,文藝春秋,2001年)1714円

 

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189:『本棚にもルールがある』 20:29

本棚にもルールがある

成毛氏の提唱する「面陳」ディスプレイで撮影

● 本棚は本の収納場所ではない

永年,既製品に満足できなかった読者の私,数年前に,持っている本の量とサイズに合せ壁2面で天井高の本棚を特注したのですが,すぐに一杯に。成毛 眞氏は「本が見にくい本棚は機能しない」(p.15)とし「勇気と決断力を持って,本棚に入れる本と入れない本の選抜をしてもらいたい」(p.16)そして「2割は空けておく。新しい本を入れるスペースは常に用意」(p.82)を,理想の本棚の条件に挙げています。

冷蔵庫にルールがあるのに対して「この本が本棚からなくなったら代わりにこれを入れるといったように,鮮度や回転といった考えがない」(p.3)とも。そうなんですよね,確かに「本棚は本の収納場所ではない。読みたい本をすぐに手に取るためのシステム」(p.50)なんですよね。

 

● 本棚は新陳代謝を繰り返さねば意味がない

「買う本の量をセーブするのは愚かな人間のすること」(p.14),「自分に投資をすべく『迷ったら買う』」(p.150)を原則とする成毛氏ですから,読んだ本をどうするかは頭を悩ませ続けた問題だったようです。

成毛氏が辿り着いた,新陳代謝の仕組みを適えるのは『必要な本棚は3つ』ルール,本書の大半を占める第2章(p.55〜142)で語られています。

 

(1)新鮮な本題・・・受け入れる本を制限しないオープンな本棚で「これから読む本,今読んでいる本を置く場所」(p.57)。書店の「平台」の位置づけ。

(2)メインの本棚・・・(1)の読後に選抜された本が入り,背表紙のタイトルも見えるようにする。面陳(=表紙を見せる並べ方,書店用語)をすると,その本棚のテーマがはっきりと見える。

(3)タワーの本棚・・・他の本とは別に扱うべき辞書,事典,ネタ帳の本のスペースで,成毛氏は場所を取らないタワー型の本棚(blog 番外編.01)を採用しているから名付けたようです。

(番外編)神棚・・・絶対に捨てたくないのに「メインの本棚」に入りきれない,人生に影響を与えてくれた本,励まされた本,癒してくれた本たちで,特別な本棚に祀る。とは言いながら,成毛氏は「トイレなどに場所を確保するとよいだろう」(p.109)だそうです。「神棚」じゃなくて,文字通り「紙棚」ですけど,神聖な場所に納得です。

 

本棚の新陳代謝は(1)→(2)の原則で守られるようです。

「神棚」本の在り方は,これまで考えたことのないジャンルでした。成毛氏の図面

 

● 小物を飾ってイマジネーションを生む

私の場合,棚の手前に日常の小物を置いてしまうのですが,単にスペースの利用です。成毛氏は「自分の本棚は,いつも見ていたいと思えるものにしたい」(p.120)として,ジャンルとつながりがある小物によるディスプレイを勧めています。本の面陳(=上文に解説)によるアクセントの他,象徴的な小物として,古いカメラ・万年筆のボトルインク(社会・事件ジャンル),使わなくなった腕時計(歴史ジャンル)等を挙げています。

私も真似をして,叔父の形見でもある古いフィルムカメラを飾りました。

他のアドバイスとしては「背面は,板で覆われているよりも,空いているタイプの方がいい。風の通りが確保でき本が傷みにくい」(p.66)と。以前に私が注文して作った本棚では,湿気の逃げ道の考えが無く今では欠点と感じています。 

 

『本棚にもルールがある ── ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか』

(成毛 眞,ダイヤモンド社,2014年)1400円

  

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183:『毎日がときめく片づけの魔法』 16:31

183:『毎日がときめく片付けの魔法』

 

●「片づけとは,あらゆることに片をつけること」(p.21)

かなり若く,でも今や時の人・こんまり(近藤麻理恵)氏の『毎日がときめく片づけの魔法』は ── 反発する同世代も多いようですが ── 目下マイブームが「断捨離」中の私にとって,かなりの福音書でした。作者とは親子ほどの年齢差がありますから,私としては文章の所々に少女趣味を感じてしまうのは仕方が無い,そこはご愛嬌。

「断捨離」へのネックは,モノへの未練。

元祖やましたひでこ氏の「断捨離」術では,捨てる事のできなかったモノも,超シンプルな「こんまり基準」のミッション「『触ったときにときめくかどうか』で判断する」(p.93)は,それはそれは特効薬でした。

読者の私には蒐集癖もありモノは増えるばかり,一方で収納スペースの在り方に解決策に見いだそうとする垂直思考,ありがちな「美しい収納」系の書籍を眺めるだけでした。冷静に考えると,モノが増え続けるのですから,美しい収納など完遂はないのですが・・・。

とはいえ「生活感のないホテルの部屋」への憧れは人一倍あり,現実とのギャップが悩みどころでした。

 

● 読者(の私)マンションを購入

収納庫としてマンションを買った同僚の話も聞きます。でも,私は「片付け祭り」(p.16)の実践の舞台として,勤務先の宿舎からの引越しを考えました。購入したのは近くの中古マンション,贅肉を取り去り,これから「いっしょに暮らすモノ」(p.98)吟味は,週末の愉しみとなっています。壁紙を変えたり,造り付けの本棚などリフォームも同時進行です。

さて「ときめかないモノを手放す」(p.3)業の始まりです。今年の1月から初め,引っ越し予定の来月までがタイムリミットです。教科書は,この『毎日がときめく片付けの魔法』です。インテリア本のような写真は皆無で,ほとんど文章中心の啓発書です。

「収納の達人にならないでください。なぜなら,モノをため込みがちになるから。収納は,極限までシンプルに,考えてください」(p.100)。

私自身にとって,居心地のいい空間ができつつあります。

 

●「息苦しくなっているモノはありませんか?」(p.58)

昨年末に福岡市に所有していた一戸建てを思い切って売却しました。荷物は,新購入のマンションに送ったのですが,数十箱に及ぶ段ボールから出てくる出てくる(コンマリ曰く)「『あれ,こんなの持っていたっけ? 忘れてた』というようなモノ」(p.61)。今までの私なら「いつか役に立つかもしれない」基準での整理でしたが,ここからは「触ったときにときめくかどうか」で判断,結局ほとんどは「お役目が終了したときが処分のしどき」(p.174)「もうお役目終了の申し出をしている」(p.59)と相成りました。

これはコンマリ流には無いのですが,私の蒐集癖が成した思い出のガラクタは,写真に撮ってから捨てるのをマイルールにしました。ほんの10年ほど前と違って,写真がフィルムでなく,お金もかからないデジタルなのが,とても有り難い。

 

『毎日がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵,サンマーク出版,2014年)税別1600円

 

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182:『知的生産の技術とセンス』 21:48

182

 

● 知の巨人・梅棹忠夫氏をリスペクト

本書『知的生産の技術とセンス』は,先達のリスペクト版として,この秋に出たばかりです ──「まだインターネットも普及していなかった時代に,来るべき情報革命の時代を予見し,個人の情報との付き合い方を解説した本がありました。民族学者・梅棹忠夫(うめさお ただお)先生による大ベストセラーとなった『知的生産の技術』(岩波新書)です」(p.3)。

リスペクトされている原書の舞台は1969年,今のブログやfacebookのようなソーシャルメディアを利用し個人が情報を発信する場など,夢物語の時です。それどころか,オフィスにもコピー機やFAXが見られなかった時代の出版ですが,今でも岩波新書の中でベストセラーを誇っています。

なぜでしょうか・・・

 

● 道具は変わっても本質は変わらない

「梅棹先生の提唱した『知的生産の技術』は,情報の集め方,記録の仕方,そしてアウトプットの仕方など,私たちも今日から実践できる」(p.5)情報の整理に関するバイブルの位置づけです。

「道具は変わっても本質は変わらない」(p.76)精神を受け継ぎながら,時代にそぐわなくなったデジタル情報整理と,ソーシャルメディアによるアウトプットの活動促進を補ったのが本書で,サブタイトルに「知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術」と付いた『知的生産の技術とセンス』です。

 

とは言え,私は,バイブルの方のアナログ時代に慣れた世代(やっとワープロが一般に普及しだした1980年代の社会人組)(それでも「新人類」と揶揄された世代)です。本書で紹介のデジタル情報整理ツールEvernoteなどを駆使している訳でもなく「ツールは変わるが,考え方は変わらない」(p.178)の『考え方は変わらない』の方を地味に歩んでいます。

本書では「発見の手帳」が一つのキーワードになっていますが,私は手書きによるノートが以前よりも増えている状況です。

 

● バイブル『知的生産の技術』の続編として

作者の堀 正岳・まつもとあつし両氏とも40歳台前半,読み進めるとデジタル情報に慣れ親しんでいる20歳台〜30歳台の方を対象にしているようです。出版元も当世代向けの会社です。

昨今,デジタル環境で育った周囲の大学生たち,いきなりPC在りきで物事を進めているように見受けます。これは「道具」に過ぎず,やはり重要さを説きたいのは「知的生産の技術」の素養です。

デジタル対応の部分は当『知的生産の技術とセンス』が補うのを知った上で,先ずはバイブル『知的生産の技術』を基礎編として読むと,堀・まつもと両氏の伝えたかった本質が見えてくると思います。

 

個人の知的生産(アウトプット)が,facebookやYoutubeやブログで容易になった現今,次のエールが印象的です ──「知的インプットまでは得意だ・・・でもアウトプットとなると尻込みをしてしまうという人がほとんどだと思いますが,あえて自分の考えや制作物を人目にさらすことで得られる,この一周めぐる間隔を味わっていただければと思います」(p.226)。

 

作者のお一人・堀氏は,手書きノートの味わいを突き詰めた『モレスキン「伝説のノート」活用術』(blog No.150)を著した方でもあります。

 

『知的生産の技術とセンス』(堀 正岳・まつもとあつし,マイナビ新書,2014年)1080円

『知的生産の技術』(梅棹忠夫,岩波新書,1969年)780円

 

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181:『モノが少ないと快適に働ける』 15:54

No.181(口絵)

 

● 男性版「断捨離」実践ストーリー 

作者・土橋 正氏は経営コンサルタントで,文房具系の分野では,よく知られた方です。今回は文房具に関する話しではなく,土橋氏自身が断行した仕事スタイルについて綴った内容です。

内容は,大きく分けて──

(1)モノ系の「取りさばき」と空間管理

(2)時間管理術

(3)プライベートライフ術

から成りますが,私の関心事は,本書が男性版・断捨離のノンフィクションであった点です。「断捨離」のフレーズ自体は,今や,提唱者・やましたひでこ氏の登録商標のようですが,土橋氏の実践は仕事スタイルを絡めた「道具と空間,時間の定位置化」に特徴があります。

No.181(表紙)

本書の扉(右写真)には,土橋氏の超モノが無い仕事場の写真,そして「集中力がみなぎる仕事空間」のコピーが配されています。

「取りさばき」(=「一つひとつ適切に判断して,いる,いらないを決めていく」p.62)の賜物です。

 

● モノがないという空間がある
独立当初の土橋氏は,自宅の書斎を事務所にしていたようですが,やがて同じ場所での仕事とプライベートに限界を感じ,コンパクトな個室オフィスを借りたのが「断捨離」の大きなターニングポイントだったようです。
「書類や道具など身の回りの一つひとつを見直し,これ以上は減らせないというくらいまで少なくした最小限の構成で仕事をしています」(p.177)に至った考え方と,書名にもなっている「モノが少ないと快適に働ける」仕事場の紹介です。

 

● ストレスを抱えない過ごし方スタイル

きれいなデスク回りが象徴的過ぎるのですが,土橋氏が本書の中で力説する一貫したキーワードは「ミニマリズム・スタイル」です。

単純・簡素の意味合いではなく「ある哲学にもとづいて内側からにじみ出てきたシンプルさ」(p.5),それに依るストレスを抱えない過ごし方の紹介です。

読者の私はと言えば,オフィスは大学の研究室,敷地内の宿舎が自宅,要はオフィスも自宅も似たような空間利用で,資料的なモノに溢れた生活。これを打破しなくては! と悶々としていた時に遭ったのが本書『モノが少ないと快適に働ける』です。

「断捨離」するなら,引っ越しが手っ取り早いな,と思っていたのですが,私は,住居の方を新たにすることにしました。この本が精神的な刺激となったのは確かです。年末か年始に引っ越し予定で,目下,作り付けの棚など設計中です。

 

『モノが少ないと快適に働ける』(土橋 正,東洋経済新報社,2014年)1300円

 

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176:『「見える化」勉強法』 22:41

176:「見える化」勉強法

 

作者の遠藤 功氏はコンサルティング会社を経て,早稲田大学ビジネススクール(MBA)教授,この『「見える化」勉強法』も,大学院に学ぶ社会人経験者へ向けての語りかけです。サブタイトルの「現場から発想する思考術&トレーニング」が内容。

 

頭と体の鍛錬として,アウトプットを生み出す勉強を5つを挙げています(p.102-113) ──

1) 書き物にして発信(一冊の本にまとめる,雑誌の記事に投稿,学術論文に挑戦)

2) ビジネスに直結するアウトプット(ビジネスプランや新規事業の企画書にチャレンジ)

3) 多くの人の前で「話す場」を積極的に設ける(社外で講演,社内の企画会議でプレゼン)

4) 人に「教える場」を経験(相手の興味やレベルを考えながら話を進める講師)

5)「資格」を取る(ビジネススクールのMBA=経営学修士,など)

 

MBAを目指すのは30歳台前半の方だと思いますが,若いビジネスパーソンにとって上記の内(1〜4)は,どれもハードルの高さを感じることでしょう。読者の私も,40歳台前半まで会社勤めをしていましたが,30歳そこそこでは,上記の何れにも該当がありませんでした。その手だてすら分かりませんでした。

そんな風だった私が,今は学生を教えているのですから,本書の示唆は,そのまま私自身の30歳台〜40歳前半の回想のような感じです。私の場合,職種上とくに(2)の機会に恵まれた,と感謝しています。(2)をベースに,(3)と(1)が勝手に連鎖して広がっていきました。社会人大学院では,初めて(1)にチャレンジする機会を持ちました。

 

176:「見える化」勉強法(中身)本書は,Part 1〜Part 3から成ります。

Part 1は「じっくり観る,しつこく観る」ことでの「現場センサー」感度の磨き方で,ビジネスのすべてに共通する基礎編です。

Part 2〜3こそが,遠藤氏がビジネス上で築いてきたトレーニング方法です。

1)自分のメッセージを「言語化」できる能力開発・・・思考は「書いたもの」に凝縮されて表れる

2)ノートで思考を「見える化」する・・・「思考の欠片(かけら)」→「思考の上書き」へ

3)数多くの経験を積んで「引き出し」を広げる意識

 

当たり前と言えばそれまでですが,作者の実践例の公開は臨場感があります。とくに

写真によるアウトプットのプロセス公開は,先達の知的生産の技術を垣間みる思いでした。

MBAを目指す社会人向けですから,ビジネス経験の少ない20歳台では,やや共鳴するシーンは少ないとは思います。30歳台前半のビジネスパーソンが精読し,意識・実践して欲しい内容でした。必ずや,経験の意識的な積み重ねは,後々何らかの成果を築きます。

会社勤めをしていた私ですが,(4)を日々体験できる大学に職を移したのは40歳台になってからです。

 

『「見える化」勉強法』(遠藤 功,日本能率協会マネジメントセンター,2010年)1500円

 

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175:『わたしのウチには,なんにもない。』 19:48

わたしのウチには,なんにも(小

断捨離の元祖・やましたひでこ著『仕事に効く「断捨離」』の読書ブログ(blog No.174)で,私は「
そりゃ確かに,そうだろう! とは思うところですが,作者の洗脳も空しくモノを捨てきれない読者が,ここに居ます」と自分で諦める始末。
モノを捨てられないのもありますが,そもそもモノを集める性分,思えば幼少の頃から。

そんな私も,書名が『わたしのウチには,なんにもない。』で,サブタイトルらしき吹き出しに「『物を捨てたい病』を発症し,今現在に至ります」のささやきには,グッときました。

ご先祖さまの,しかも保存状態の良くない宝物に囲まれ,片付け下手な祖母と母にも囲まれ「そう,私は 生まれも 育ちも 汚屋敷 出身!」と語る仙台在住の作者が,反動で「物を捨てたい病」を患い,一方で片付けられない・捨てられない家族とのマンガで描く奮闘記。
── は序章。

本編は,平成23年3月11日 午後2時46分「この日ほど,家に物があることを後悔した日はない」「家中にあった物達が,一瞬にして凶器になり」東日本大震災で家を失ってからです。
「『物を捨てる=祖末にしている』は必ずしもイコールではないし,持っているだけでは大切にしていることにはならない」「物との関わり方を少し変えるだけで,暮らしに大きな変化が起こるものだと学びました」(p.72)。

高校時の「モッタイナイの壁崩壊」,実家住まいの大学生時の家族との確執,夜中に帰宅する会社員時は「癒し度0」に戻った我が家,結婚を機に新居への引っ越しを心待ちに・・・東日本大震災で失った実家,現在は新築の二世帯住宅で「捨てのK点超え」を実践中の「ゆるり まい」さんです。

「掃除をしていると とても落ち着き 最高のストレス解消・・・」── なんか凄くわかります。
作者は[なにもないぶろぐ]を開設しています → http://nannimonaiblog.blogspot.jp/

『わたしのウチには,なんにもない。』(ゆるり まい,エンタープレイン,2013年)1000円
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174:『仕事に効く「断拾離」』 17:30

断捨離(背景は,私が何となくコレクションしているペットボトルのキャップ。近々「断捨離」予定)

 

PCでは「だんしゃり」と打っても,一発で変換はされませんでしたが「断拾離」は,今や通じる日本語化していますね(奥付によると,作者は登録商標化しているようですが)。

 

「家の片付け術と勘違いされている方が多い」(p.172)のご多分に漏れず,私も,捨てる事による片付け術と思い込んでいました。ですから『仕事に効く「断拾離」』の書名に,おやっ! と思って手にした本です。

作者の目指す「男前の女になる」(p.8)ための,さまざまな仕事生活へ向けての気づきが綴られています。

 

「これは要るの?」

「このコトは,適していることなの?」

「これが,快いことなの?」(p.183)

モノへのしがらみを断つとは,今この瞬間を基準に「要・適・快か,そうじゃないかの判断」(p.89)で,意識を変化させるための「心の新陳代謝」(p.32)の習慣化と説いています。

 

作者が唱えるのは,主軸は自分。
「機能は衰えていないから捨てるにはもったいないし,いずれ使うかもしれないから取っておく‥‥。これではモノに主軸」(p.172)。但し,コレクションは「その人にとっていいように作用しているので,おのずと残すべきモノ」(p.40)だとか。

 

過去の成功体験は「断拾離」

無駄な時間を「断拾離」

愚痴をこぼすのを「断拾離」

 

「断拾離」の目的として,本書で盛んに出てくるキーワードは「ご機嫌になる」。

「ご機嫌な暮らし」
「ご機嫌な状態」
「ご機嫌な時間」
「ご機嫌な場」の創出を習慣化しましょうと!

 

読んでいくと,そりゃ確かに,そうだろう! とは思うところですが,作者の洗脳も空しくモノを捨てきれない読者が,ここに居ます。

ずっと以前に紹介した『佐藤可士和の仕事術』(blog No.68)で,佐藤氏は「いい仕事に,整理術は欠かせない」として「思考回路の整理」と「空間の整理」を挙げ,オフィスの写真を公開していましたが「断拾離」思考の分かりやすい具現化で,憧れの空間です。

 

『仕事に効く「断拾離」』(やました ひでこ,角川新書,2011年)780円

 

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172:『蔵書の苦しみ』 14:04
蔵書の苦しみ

書名を思わず『読書の愉しみ』と読み間違えそうです。
古本屋さんに買ってもらったり,とうとう「一人古本市」を開いたり,ざっと約2万冊,いや3万冊ぐらいあるのかもしれない蔵書を抱える作者・岡崎武志氏の「蔵書の苦しみ」からの少しばかりのダイエットを綴った7月末の新刊です。
「整理術うんぬんを語れるのは,五千冊ぐらいまでの蔵書の場合だろう」(p.23),仕事をするとき「活きるのは,手の届く範囲に置かれた本なのだ」(p.58)と語る岡崎氏なのですが,3万冊は「年に一千冊の本を触れるなり,読むなり,一部を確かめたりしたとしても,すべてを触り終わるには三十年かかる」(p.27)とぼやく

なぜこうなるのか ── これは第十一話のタイトルでもあるのですが,要するに「男は集める生き物」(P.164)だからと分析。「消しゴムのちぎれた切れっぱし,道で拾ったビール瓶の王冠,壊れた玩具の一部分などゴミに近いものであっても,それを大事に思い,捨てずに取っておくというところに,すでに『オトコ』が芽生えている」(P.171-172)。

登場する著名人や歴史上の人物の蔵書話も勉強にはなりますが,臨場感があるのは,類を呼ぶ作者の友人のエピソードでしょう。
1万5千冊の蔵書のために,理想の建築家を探し,古い家を立て替え「本の栖(すみか)」の家を実現した知人Nさんの話。
自分がこれまでに溜め込んできた蔵書の有効活用として,定年後に古本屋経営を歩んでいるTさん。
居住空間が本に浸食され,ほとほと困り果てた人が登場する『山からお宝』(けものみち社)にカラーで登場する図書館勤務のSさんは結婚を機にダイエット,図書館で借りて済む本と所蔵する本の見極め眼が付いた話。
古書店の規模では買い切れなかった段ボール200箱以上の蔵書を持つ出版社勤務(定年後の現在は出版社を経営)のHさん。お寺での1万冊(3トン車で二往復)の破天荒な「一人古本市(4日間)」で95%を消化(この成功を真似たのが,ギャラリーを借りた作者の「一人古本市」,3日間で段ボール50箱・2千500〜3千冊を減らした)。

リアルな書籍の話だけではありません。映画『遥かなる山の呼び声』(山田洋次 監督,1980)や『ジョゼと虎と魚たち』(犬童一心 監督,2003),『いつか読書する日』(緒方 明 監督,2005),『愛妻物語』(新藤兼人 監督,1951)やTV映画『ビブリア古書堂の事件手帖』(剛力彩芽 主演,2013)観る映像として,本や本棚が写っている光景の描写は,この本を著す作者ならではの観察眼!

私は頁を進んだり戻ったりと,本を読むのが遅いのですが,文体が軽やかでスラスラと読み終えることができました。

『蔵書の苦しみ』(岡崎武志,光文社新書,2013年)780円
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167:『facebookバカ』 21:59
「facebookバカ」

実際のfacebook上のアップ記事に「この本の表紙,小さな子供がクレヨンでfacebookと落書きしていますよね。bookがpookに見えた」とあり,そうそう,私も書店で購入時に「ん?」と思ったものです(ちなみに「pook」という単語は無いとの由)。
(๑′ᴗ‵๑)

閑話休題「フェイスブックが手紙や電話,メールの次に登場した画期的なコミュニケーションツールである」とまえがきで述べ,あとがきでは「『ケータイ,持っていないの?』と同じように,『フェイスブック,やっていないの?』になるのは遠い将来のことではないのです」 ── と,作者・美崎栄一郎氏は断言しています。

ブログですと集客を考え続けないと「墓場」と化し,個人の運営では難しいメディアです(と,こうしてブログを書いている私)。それに対し今注目のfacebookは人を集める仕組みを予め持った,むしろ庶民向けの「新ブログ」と言えます。ブログにしても僅か8年前の2004年に本格登場したところなのですが・・・webメディアの盛衰は早いものです。
facebookは仮に公開しなくても(記事や写真を「非公開設定」に,または「公開範囲設定」も可),web上でテーマ別に自分の「写真アルバム」をストックできます。また「現在」の出来事しか投稿できなかったブログやツイッターに対して,過去の出来事も時系列(タイムライン)変換で整理できます。web上に『自分史』を簡単に作ることができるツールです。
その特性について,美崎氏は「タイムラインという発明は,画期的です。敢えて『発明』と言ってしまいます」(p.144)が「フェイスブックだけが過去の出来事をあとから投稿することができる仕組み」(p.114)と絶賛しています。読者の私が,もっとも興味を持った部分です。
例えば幼少期の写真等の過去のコンテンツも「デロイアン号に載せられるようになった」(p.145)タイムラインという仕組みのおかげで解決できます。日付設定だけをバック・トゥ・ザ・フューチャーして過去に送る仕組みです。詳細は,本書のp.144-150をご覧ください。

上記の解説の他さまざまな裏技など,facebookを使い始めて,ある程度の操作を覚えた人へ向けてのタイムリーな出版物です。

美崎氏は,最近まで花王の社員でしたが「私のように退職したあとでも,勤めていた会社や仲間に愛着のある人は,今のようにフェイスブックがなかったらどうなっていただろうと思います。(中略)フェイスブックで繋がっているのは,本当に便利で楽しいことなのです」(p.64)と綴っています。
私も,かつて勤めていた会社の仲間から,私のfacebookへの投稿記事や投稿写真,シェア情報に対し「いいね!」やコメントがアップされていると,とてもうれしいものです。

『facebookバカ』(美崎栄一郎,アスコム,2012年)1300円
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