富山祥瑞の大福帳(読書ブログ)
「大福帳」とは,江戸時代に商屋で使われた金銭出納帳で,現在の簿記のように勘定項目を分けずに取引の順に書き連ねた経営活動の記録。
この発想に倣い,ジャンルを問わず読んだ書籍の記録を順次残していく知的生産活動の日記としていきたい。

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180:『「売れない」を「売れる」に変えるマケ女の発想法』 12:09
マケ女

● 良い製品が売れるのではなく,売れるのが良い製品
「技術の裏付けがきっちりとある優れた製品なら,黙っていても売れる」を妄信する社風が残り,技術力には定評がある架空の太田電子を舞台にしたマーケティング論です。
主人公は,太田電子マーケティング部に所属のマケ女・福島理子(入社8年目・30歳),因みにマケ女とは書名にも使われていますがマーケティング女子を指します(初めて聞いたけど・・・現今の業界ヨーゴでしょうか。「負け女」ではない)。

時は,機能面だけではiPotに勝るとも劣らない,しかもカメラ付き,機能てんこ盛りの携帯音楽プレーヤー(コードネーム「ピクシー」)が開発の最終段階で細部の詰めを迎えようとしています。

● 価値を決めるのは売り手ではない
例によって,ある朝,マーケティング部に「販売促進を考えよ」とA4用紙1枚の指示書が置かれている所から,ストーリーが始まります。
「こんなにすごい製品ができたから,きっと買ってくれる。そんな思い込みで,うちは何度も痛い目にあってきたはずじゃない」── 理子の動きが,早くも社内にただならぬ波風を起こしたようです。

「我々技術陣が総力を結集して開発してきたピクシーなのに,君は売れないとはっきり言ったそうじゃないか」「お前なんかに,我々開発陣の必死の思いなどわかるはずもない。マケ女だかなんだか知らんが,小娘が偉そうなことを言うんじゃない」「所詮マーケティングなんて,製品が出来てから広告を考えるだけのセクションじゃないか」── 技術畑一筋30年,親子ほども年の違う開発部・中山部長の逆鱗に触れたのでした。

● 中核価値を還れば新たなターゲットが見えてくる
しかし理子は,中山部長との論争の中で,引き合いに出した自社の超軽量ヘッドフォンが,従来とは違う新しいマーケット開拓で爆発的に売れたケースを振り返るきっかけを得ます。
その後,同期や後輩とカラオケボックスでの論議を重ねる中,次々と企画の連想が広がっていきます。
発想の萌芽と,メンバーとの論議での肉づけで,企画は育っていくものですね(お役所風の会議 ──「議題」と「報告」の嵐などでは,画期的な企画なんて出て来ないです)。
そうそう,カラオケボックスでの会議利用もストーリーの重要な伏線となっています。
かくして,社長プレゼンを経て,ピクシーの販売戦略はどのように進んでいったのでしょう?── 本を買って読んだ人だけのお楽しみ!

でも,最期には「本書はフィクションです」で締められています。

『「売れない」を「売れる」に変えるマケ女の発想法』
(金森 努・竹林敦実,同文舘出版,2013年)1400円
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173:『怒る企画術!』 12:46
怒る企画術!

40歳代までにはなかった読書の愉しみが50歳代になるとあります。読み手の私が,書き手と同じ年齢域にあるのです。
この本『怒る企画術!』の作者・吉田正樹氏は私と同世代。「あっ,あの昭和40年代に同じ少年期をおくったんだ」「昭和の後半のあの頃,自分勝手でわがままで世間から『新人類』などと呼ばれた経験を持つ世代だな」などと,私の中で勝手に共感したり,背景となった時代を回想しながらの読書でした。

吉田氏は2009年,50歳を機にフジテレビを退社,TV媒体としての番組制作を脱し,メディア企画やコンサルの会社を立ち上げています。「このオレに口ごたえしてくるとは何事か!」(p.117)という凄みあるプロデューサー時代の「怒る企画術」を綴った内容です。メディア業界の後輩へ向けて,自身が積み重ねて得た持論が展開されています。

が,しかし,新人時代は「二〇代の下積み時代は仕事の内容も非生産的です。ひたすらコピーをとっては仕分けし,何十部もホチキスで留めるとか,地味で細かい仕事が多い」「僕は生意気ではありますが,それほど自信家でもないので,このまま芽が出ないまま終わるかもしれないと思って鬱々としていた時代」(p.32-33)だったようです。「笑っていいとも!」のAD時代です。
読者である私の1980年代のあの頃は,会社で「やらされている感」が募ってばかり,というか仕事が何たるか,自分の役割が分からなかったものです。当時,昼休みのオフィスの定番「笑っていいとも!」を囲んだ和やかな社員の休息の輪にも入れなかったほど不満と不安がありました。
そのテレビの向こう側の制作現場では「不満やるせない気持ちでいっぱいだった」(p31)同じ年代の吉田氏がいたわけです。新人時代は,今思うと,みんな悩んでいるのです。

一般的に「若いときには人生の目標を立てよ」となりがちです。
吉田氏はズバッと「若いときには人生に目標がないのは当たり前の話です」と斬ります。「本当はもっと迷って,迷って,迷うところから出発するものでしょう」(p.53)と。5.6年が過ぎると仕事のコツが掴め,楽しくて仕方がなくなるのですから組織って面白いですね。吉田氏の言葉を借りると「仕事に夢中になれたら,どんなに長く働いても疲れを感じません」(p.167)。

作者の「若き悩み」に喰いついてばかりの私の読書でしたが,実は,本書の伏線に過ぎません。
中身の本質はタイトル通り『怒る企画術!』。
とくに第二章は「ぶれないコンセプトの組み立て方」のマーケット論,第四章の「ケンカのできるチームがいい」では企画の組織論が,自己の番組企画の体験と反省から展開されています。
たとえば「ウケるタイトルは語感がよい/記憶するのに脳が負担を感じるものではないほうがいい」(第二章 p.87-89),「『自分がやりたい』というだけでは,根拠がない。しかし,会社の利益まで落とし込めるようなイメージができていれば,反対意見に勝てる可能性があります」(第四章 p.163)とかね・・・。

企画に対する現場実践に裏打ちされた,番組制作でなくでも通用するキーフレーズも満載です!

『怒る企画術!』(吉田正樹,ベスト新書,2010年)780円
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169:『3分でわかる ロジカル・シンキングの基本』 15:20
3分でわかる〜(300pix)

「3分でわかる」の書名に惹かれ,帰路の新幹線で読み切ってしまおうと思い,東京駅前の八重洲ブックセンター(写真の背景は私の好きな八重洲BCの書籍カヴァー)で買った本です。とは言うものの「3分でわかる」の意は,40ある項目が「1項目だいたい3分でわかるようにしてあります」(「3分で読める『はじめに』より)。実際には,1話をちびりちびり1週間程度,半年かけて読み終えたところです。

項目の設定や小見出しが実にわかりやすい。例えば『仮説は間違っていていい』(p.57),『「問題を解決すべき」は結論ではない』(p.76),『相手につっこませない『ファクト』の裏付け』(p.84)等々。
作者の大石哲之氏は執筆当時,33歳の若きコンサルタント,難しげな論文調を使うこともなく,項目(テーマ)に沿った企画のツボを正攻法で丁寧に押さえてくれています。
現在,ビジネスシーンでの代表的なマーケティング思考は「仮説思考」です。この本も「『仮説 → 検証 → 修正』サイクルをいかに早く回すことができるか」(p.58)の仮説思考が基調となっています。

時折示される実例は,これまた興味深い。
作者が「事例として,富士フィルムの例を挙げます」(p.184)には ── 
1)自社のフィルムが売れなくなる状況を作るデジタルカメラの製造に事業分野を広げた。
2)フィルム開発を通して得たコラーゲンに関する技術で,化粧品の分野に進出。
2008年の初版ですが,世界最大のフィルムメーカーだったコダック社(2012年 経営破綻)のでき得なかった事業の紹介が,その3年前に話題提供されています。

マーケティングの概要を解した教科書的な内容が中心で,若きビジネスパーソン向けの位置づけでしょうが,こちらが勉強の復習をさせてもらったような気分です。「3分」では分からなかったけど『わかるロジカル・シンキングの基本』でした。

『3分でわかる ロジカル・シンキングの基本』(大石哲之,日本実業出版社,2008年)1470円
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168:『コンサルタントの考える作法』 21:26
コンサルタントの考える作法(2

教育学部に着任して10年になりますが
今でもビジネス・マーケティング書を読むことは多いのです。
えっ今の仕事と関連が無い? ── いいえいいえ世間では接点がない風に思われていますが教育とマーケティングは同じ軌道なんです。元ビジネスマンの私自身が,教育大学に来て改めて気づかされました。

今回の『コンサルタントの考える作法』
作者・樋口陽介氏はコンサルティング会社(アクセンチュア社)に勤める新進のマネージャー(2009年の執筆時34歳)。彼は「私自身は作法を離れて自分のやり方を総合化/体系化して道を離れるところまではどんなに少なくともまだ10年はかかると思います」(p.5)と謙遜していますが,書名の『考える作法』とは ──
1)壁に行き着くための必須スキルとしてロジカルシンキングがあり
2)壁の先に進むための『自分なりの作法そのものを考える』ことの必要性
── 二つの意味が託されているそうです(p.4要旨)。

つまり本書の構成は作者が新人研修の講師を担当する中で培われたようですが芸事の世界でいう「守破離」の「守」にあたる基本形の大切さ(第1〜4章)それと作者自身が目指す「クライアントに刺さる」視点獲得の生活術(第5章)から成ります。

クライアント(依頼主)からのコンサルタントへの期待は「客観的な第三者」(p.154)ですから「作法を守る」段階で留まっていては「単なる整理屋」(p.167)に過ぎず打ち手には繋がらない。
でもショートカットなど無く「物事の関係性をきちんと整理できて初めて解決の道筋が立てられる」(p.165)わけで先ず定石的なフレームワークを学び体得し起点にすべき,と。
そして道を深め踏み込むのですが「どの道を進むかはその人の資質いってみれば個性」とこの第二段階こそを作者は「個性」と呼んでいます。さらに型の外にある「ノイズこそが個性」(p.190-191)と記しているのが新鮮です。「守」を体得した上での「個性」と言えます。

「知らないことや想像できないことは思考から抜け落ちる」(p.46,p.65)のが常多様な視点を持てるようになるためには「近道はなく広く世間の言葉を知るつまり新聞や雑誌本をよく読むといった行動がまずは求められます」(p.62)と,日々,コンサル業を実践しつつ,後輩も育てている作者の生活も窺えます。

作者が使っている「クライアントに刺さる(影響力のある)」の語彙、企画シーンでの納得の表現です。

『コンサルタントの考える作法』(樋口陽介PHP研究所、2009年)1300円
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131:『缶コーヒー職人 ── その技と心』 14:50
「缶コーヒー職人」再撮影
今では「BOSS」は単品ではなく商品群のブランド名称となり,缶コーヒー自体もレギュラーの代替品でもなく独自の飲み物のポジショニングを得ています。
しかし「サントリーの主戦場じゃないところで戦っている意識,どうせならレギュラーコーヒーを作りたいと思った」という内容の回想があります。缶コーヒーのブランド化を推進したのは1992年誕生のサントリー「BOSS」だったのかもしれません。それ以前は確かに「たかが缶コーヒー」だったような気もします。

舞台は1986年,サントリーの缶コーヒー「WEST」の誕生から始まります。時代は「自動販売機をどんどん投入していくことで,数字はのびるという楽観的な考え」が支配する頃,実際にどの会社の缶コーヒーもみな同じように出荷数を伸ばしていた時代です。
これは後になって誰もが気付くのですが,バブル経済のひと時の恩恵に過ぎませんでした。

「WEST」の見直しから20か月(通常,開発期間は6〜8か月らしい)を要し「BOSS」が発売されたのは1992年5月,その開発ストーリーが本書です。通常,この手のノンフィクションはライターの取材によって書かれるケースが多いのですが,何と作者・高橋謙蔵氏はサントリーの社員(現・飲料開発設計部長)! 
自社商品が生まれるまでのプロジェクトの様子がメンバーの実名とプロフィールとともに,賑やかに飛び出してくる職場「ドラマ」になっています。
かくして後発にもかかわらず,ヘビーユーザー(毎日飲む人)をメインターゲットに据えて開発された「BOSS」の躍進は周知の通り。ネーミングの「BOSS」とは,ヘビーユーザーの代表格である工事現場等で働く男の相棒というコンセプトから見いだされたのだと。「新世界(ムンド・ノーヴォ)」なんてのも検討されたらしい!?

中身開発,宣伝,デザインなど垣根を超えたプロジェクトメンバーも,当初は,それぞれの専門家のエゴから「作品作り」を主張していたものの,やがて到達した共通意識は「サントリーの作品ではなく,お客さんが買いたくなる商品」(p.77)作り。「仕事をしながら学び,成長する面白さを味うわうことができました」(p.90)と,ビジネパーソンとして最高の職場環境に。

コンセプトとは常に進化するユーザー像に対応する生き物です。デヴューから15年にわたるその後の「BOSS」ブランド育成の足跡にも触れており,マーケティング思考の実践的な事例としても学ぶことが多い内容です。


『缶コーヒー職人 ── その技と心』(高橋謙蔵,潮出版社,2007年)1200円
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127:『銀座ママ麗子のマーケティング事件簿』 12:14

127「銀座ママ麗子のマーケティング事件簿」
作者の高橋 朗氏の「学術的でない方法でマーケティングを解説するための本を出版することにしました」の通り,小説仕立てのマーケティング教本です。

業界第一位の化粧品メーカー美粧堂が男性向スタイリング剤として,20年以上トップシェアを誇ってきたのが「シルキー」,陳腐化する筈はないと思われていたのですが・・・。
二番手オリオン化粧品の新商品「ダンディ」に脅威を感じるまでに。美粧堂は伝統商品をライバル「ダンディ」寄りにリニューアル,老舗が二番煎じ戦略を採ってしまったところから,この物語は始まります。
「ダンディ」の快進撃と裏腹に,「シルキー」不振は,とうとうコンビニ最王手セブン・トエゥルブの棚から消えかけるまでに迫ります。シルキー・リベンジ・プロジェクトの奮闘記です。

主な登場人物は,美粧堂の商品担当者,美粧堂をクライアントとする広告代理店・芸通の面々,それと書名でもある銀座の美人ママ麗子です。なんでも外資系コンサルタント会社に勤務していた人物らしい。
広告代理店の若手マーケッター森崎の「〜じゃないですか?」「マジっすか!」発言,銀座ママ麗子の「〜でございますわよ」など,妙にTVドラマの演出風ですが、中身は真剣な「シルキー」蘇生の企画舞台裏が描かれています。TV番組を観る臨場感で読み進めることができました。

「モノじゃなくて,コトの時代」「コンセプト(存在意義)」とか「サスティナビリティ(持続可能性)」だとか一見難しそうなコトバが出てきます。しかし「気に入らないんだよ。そういう理屈ばっかりで話されてもよ。人間はロジックじゃ動かんぜ。人間は,感情で動く動物だ。理屈ばかり言ってるヤツは,学校でお勉強でもしてな」(p.111-112)芸通・クリエーター関口の会議ブッ飛び発言も入ったりと,舞台裏は何かと賑やかです。

じり貧の「シルキー」の復活の行方は? このリベンジ企画での麗子ママの役割どころは・・・?
本書の最後30ページ余りで,話は意外な展開に! このプロジェクトの行方は・・・。

登場する会社は架空ながら,こりゃ資生堂,電通,ボストンコンサルティンググループ,セブンイレブンのこと!? 麗子ママが復活に導いた缶コーヒーって「BOSS」の設定!?
架空ばかりでなく,作者が実際に顧問を務めるリサーチ会社・マインドシェア社(プロフィールより)が,何と企画の重要な役割でさりげなくPR登場(監督がチョイ役ながら旨く登場するように)するあたりは,気付く読者だけが頷く演出!


『銀座ママ麗子のマーケティング事件簿』(高橋 朗,宝島社新書,2008年)720円
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120:『仮説思考』 17:26
120:『仮説思考』
多くのビジネスパーソンが,時間との闘いの中で何となく身につけているのが「まだ,十分な材料が集まっていない段階,あるいは分析が進んでいない段階で,自分なりの答えをもつ」という仕事の技術だと思います。
実は,この仕事の技術,世界最強のコンサルティング会社・ボストン コンサルティング グループ(BCG)の社内では普遍的にシステム化されている「仮説思考」。
作者の内田和成氏は,BCGの日本代表を経て,現在は早稲田大学大学院教授。

内田氏は,仮説思考をTV番組「刑事コロンボ」「古畑任三郎」の見極め力を例に「仮説思考によって『犯人らしい人物』を最初に特定し,それから詳細な捜査をスタートさせる。仮説思考の捜査である」(p.195)と説明。
本書のメッセージを要約すると,仮説を検証するために分析する。闇雲に分析してから問題を整理するのではなく,まず強い問題意識をもって仮説をつくり,それが正しいかどうかを検証する。あらゆる情報を集めてから何かを発見しようとする仕事のやり方(網羅思考)では,どんどん時間が過ぎていき,肝心の問題構造がつくれない。
「問題意識のない分析は,決してやってはいけない」(p.177)。
では,仮説を検証していく中で間違いに気づいたら? ── やり直せばよい。意思決定にたどりつくスピードと質は,仮説と検証の繰り返しの方が,情報洪水に溺れる網羅思考より早い。
「打ち手」と「裏打ち」と「筋」,この習慣化が「仮説思考」の要諦と,私には伝わりました。

前々回に紹介の『「市場調査」集中講座』(blog No.119 / '09 1.19)が「仮説を前提に解決策も検討しておく」重要性を,新入社員や大学生に向けて説いた入門編なら,本書『仮説思考』は中堅ビジネスパーソンへのガイドブック。これまでの自分流の思考が後押しされ,体系だって明確化することができます。
文中に「仮説思考という概念があまり世の中で知られていない」と触れていますが,私自身もサラリーマン時に何となく経験則で支えられてきた「仕事のやり方」が,この本で「仮説思考」というシステムであったととを認識しました。
「分析力よりも仮説思考が大事」(p.51)で,読者の一人として「仮説思考」というコトバをもっとメジャーにしていきたいと考えました。


『仮説思考』(内田和成,東洋経済新報社,2006年)1600円
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119:『マーケティング大進化論』 13:15
119『マーケティング大進化論」
ちょうど1年ほど前に買った本で,進んだり戻ったりしながら読み終えたのが,この『マーケティング大進化論』です。しかし分厚くて難解な本ではありません。読むほどにマーケティング理論のキーワード・キーフレーズが収集できる宝庫だったからです。
例えば ──
 「商品が売れない理由の一つは『売れるもの』ではなく『売りたいもの』を作っているため」(p.58),
 「どんなに品質が高くても,知られていない商品を売るのは難しい」(p.62),
 「戦う土俵を変える」「敵がいないマーケットで戦う」(p.67-68),
 「アイデアが優れているからといって,企画が通るとは限らない」(p.84),
 「お客は理屈では商品を買わない」(p.140),

これらのマーケティング概念は,いろんな本の中で違った言い回しがされています。しかし,こうこうこういう概念を作者は,こういうコトバに置き換えて表現するんだな! と,読者が膝を打ちたくなる判りやすい語彙が鏤められています。

広告的な考え方として,作者の牧野 真氏も「商品特徴や使い方などを小学生の子どもでもわかるように,やさしい言葉に置き換えることが必要です」(p.100)という自らの教えを,すでに本書の中で実践しているのです。
「わかりやすい言い回しに変えることは,面倒な作業」(p.100)ですが,読者として,ことマーケティングに関しては,この本から素敵な言い回しを貰いました。

さらに,次の文章は誰しも唸るのではないでしょうか!
「マグドナルドのハンバーガーよりもおいしいハンバーガーは簡単に作れても,マグドナルドよりも儲かるバーガーショップのビジネスモデルを作るのは,至難の業です」(p.103)。

この本,実は前回の『市場調査「集中講座」』(blog No.118 2009 1/19)と同じ作者です。
前回がプランニングに繋がる市場調査の話でしたので,プランニングの発想着眼が書かれた今回の『マーケティング大進化論』は続編という位置づけです(出版年は,今回分の方が古く,出版社も異なりますが・・・)。

『マーケティング大進化論』(牧野 真,中経出版,2006年)1500円
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118:『「市場調査」集中講座』 16:56
118『市場調査](ジャケット
大学に勤める前,私は広告業界に身を置いていました。ここでの20年間,私は,本の作者・牧野 真氏が言う「調べるスキル」(p.23)を学べたと思っています。
作者は,現役の広告代理店ディレクター。「説得力のあるビジネス提案に欠かせないマーケティング。そのマーケティングで必要とされるのが市場調査だ。(中略)市場調査の概略から具体的なリサーチ方法まで解説」(ジャケットの袖に記載)した本です。私はとても臨場感と共感を持って読むことができました。

「市場調査」(図解)調査をすれば何かが判るという幻想はありがちですが「調査を実施すれば,あなたが抱いている問題がすべて解決するというのは夢物語」(p.80)で,先ず仮説づくりありき,同時に「仮説を前提に解決策も検討しておく」(p.88)企画プロセスの肝が説かれたプランニング作法読本です。

例えば『自社の主力商品の売上げ低迷の要因を探る調査』であれば,売れていない要因が分かっただけでは先に進めません。「『そのことを今後どう解決していくのか』まで事前に検討しておく」「こんなことがわかった」では「それがわかったところで意思決定につながらない」(p.88)と,市場調査への幻想を戒めています。
市場調査の目的は,現状の評価ではなく,次のアクションプランのための一つの情報に過ぎない訳です。

また市場調査というと,数値アンケート(定数調査)という考え方が一般的ですが,消費者の生の声を収集する手だてとしてグループインタビュー等の定性調査も多くのページを使って解説しています。

本書では,情報を収集することは「『気づき』を蓄積すること」(p.170)と,仮説を構築していく力(ファクト・ファインディング力)の必要性が随所に展開されています(上図参照/p.122掲載図より)。
プランニングにおける[調査をする意味]と[調査手法]が詰まった本という性格です。これは書名の前に「プレゼン&セールスに役立つ」というショルダーが付いていることからも窺えます。

『「市場調査」集中講座』(牧野 真,アスペクト,2008年)1500円
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117:『ビジネス頭を創る7つのフレームワーク』 16:26
117『ビジネス頭を創る7つのフレームワーク」
正確には『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク ── ビジネス思考法の基本と実践』と,とっても長〜い書名です。
若いビジネスパーソンに向けての企画やコンサルティングの「教科書」的な位置づけになる本だと思えます。テーマは,もう書名そのまんま ── 勝間流マーケティング手法の公開です。
本文は主語が「私」で綴られていますから,講演会を聞く雰囲気で読めます。但し,全327頁と分厚いので,読者の私は多くの休憩が必要でしたが・・・。

作者の勝間氏が,マッキンゼー等の「『ビジネス思考力』が武器である企業」勤務時に鍛えられたという「ビジネス脳」の創り方を「自分の学びプロセスを振り返りながら,ある程度,再現性ある方法として」(p.4)体系化した本です。

この「教科書」は,下図のような階層構造です(本書帯より:クリック拡大可)
フレームワーク階層図思考プロセスの[分析 ── 統合 ── 評価]段階に対し,作者の提唱する「ビジネス思考の基礎」が右側に計7つ対応しているのが図から解ります。








それぞれ,1.論理思考力 Logical Thinking(第3章),2.水平思考力 Lateral Thinking(第4章),3.視覚化力 Visualization(第5章),4.数字力 Numerical Thinking(第6章),5.言語力 Language Capability(第7章),6.知的体力 Mind-Body Correlation(第8章),7.偶然力 Serendipity(第9章)。そして,これらの上位概念として勝間氏の著書には必ず登場する「フレームワーク力」の概説が第2章で位置づけられています。また「○○力」という呼称には「実践で役立てるものである」(p.79)という目的を込めている,との由。

フレームワークとは,本書から要約すると「さまざまな情報を処理・判断し,意思決定を行う際に,思考をより活発化し助けるための,現実を観察する方法で,新しい見方や気づかない見方を出してくれるための尺度」。本書では,マッキンゼー発信として有名な「PPM分析」(あの「スター・問題児・負け犬・金のなる木」論理)をはじめ21例を紹介しています。
 確かに,これらをとっつきにくいマーケティング定理と捉えないで「考えやすくするもの=フレームワーク」と訳すと,随分スッキリしてきました。

本書に登場する7つの基礎力のうち,私が最も興味を持ったのは「私たちが自分の思考力を最大限に発揮しようとするとき,そこで重要なのは,いかに身体を健全に保ち,心を健全に保っていくかです」(p.264)とする「知的体力」の第8章です。「脳を鍛えるのと同じくらいの労力を使って,身体を鍛える」(p.267)。 健康時には見過ごしがちな大事な基礎力です。最近,全く想定外の腰痛に悩まされるようになった私にとって,とても臨場感のある提言でした。


『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク ── ビジネス思考法の基本と実践』
(勝間和代,ディスカヴァー・トゥエンティワン,2008年)1600円
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