179:『はだかの王さま』 | 20:11 |
● 大人になって絵本を読む
むか〜し読んだ本で,いま再び「読まなきゃ!」って思った絵本が,この『はだかの王さま』です。
いろんな絵で出版されています。読んだ(というか読んでもらった)のは,おそらく小学校1年生の時。思い出の絵とは違っていましたが,ストーリー展開はもちろん記憶と同じです。
ご存知,話の展開は,魔法の布でつくった服を着てパレードに出た王様,服が美しく見えるのは賢い人だけ。見物人は声を合わせて叫びます「やあ,王様の新しい服は,なんときれいなんだろう!」── みんなが褒めている服が自分には見えないことを知られたくありません。
一人の子どもが言いました「王さまは,なにも着ていないよ!」。
● 政治に無関心でも,無関係ではいられない
今時の社会情勢の潮流というか,妙に納得する雰囲気,なんだか「クウキ」感に流されていませんか! と警鐘を鳴らしているようです。
「仲間の国などが攻撃された際に,日本は一緒に戦う『集団的自衛権』が必要ですよ」
「原発は恐くありません,事故は収束しています」
「根拠のない風評に対し,国としても全力を挙げて対応します」(マンガ『美味しんぼ』原発描写への首相発言,直後に休載が決まる)
子どもの頃に読んだ,このアンデルセン名作を,いまこそ思い出して欲しい! と切に願っています。この絵本が『図書館戦争』での描写のように,発禁図書となりませんように(未来を深刻に考え過ぎか・・・)!
●「クウキを読む」と言えば・・・
芥川賞作家・藤原智美氏の『検索バカ』(blog No.177),ちょうど『はだかの王さま』を,大人に向けて解説した内容になっていることに気づきました。
「クウキが支配する帝国」(場のクウキを読んで無自覚に自分を合わせてしまう私たちの日常)への指摘です。
『はだかの王さま』(アンデルセン,乾 侑美子 訳,バージニア・リー・バートン 絵)
岩波書店,2004年,1700円